「忘れ物?」

仕事終わりの青山は今朝の顔に戻っていた。

「違う、、

お前、家どこだ?電車は?、、間に合うの?」

息切れでうまく喋れない。


「ここから歩いて10分。」

「奇遇だな。俺はここから歩いて20分だ。送るよ」

「いいよ、ひとりで帰る」


俺はそっぽを向いて帰ろうとする青山の右腕を掴んだ。


「危ないから。家どっち?」

青山は俺に腕を掴まれたまま、どこか冷たい表情で歩き出した。