「もうすぐ夏休みだね、美紅ちゃん!」
「優ちゃん!」
中休みになった瞬間に自分の席からスキップでやって来たのは、幼馴染の上島優だった。
「美紅ちゃん、夏休み一緒に行こうよ、お祭り。」
「いいよ!あっ、斗真も一緒にお祭り行こうよ。」
私はちょうど私たちの後ろを通った斗真に声をかけた。

瀬名斗真。彼も私たちの幼馴染だ。

「ああ、学校でいくキャンプとかとかぶってなけりゃな。て言うか、俺でいいのかよ?」
「え、どう言うこと?」
「え?いやだって。ほら、お前なら、その……」
その瞬間、斗真の声は教室の戸を開ける音に掻き消された。そしてそのとを開いた人の声が聞き直した私の声にかぶる。
「すみません、藤崎先輩いますか?」
自分の名前を呼ばれ、思わず体がビクッと反応した。誰かに呼び出されるなんて…しかも知らない人に。
「え、あ、はい。えっと……」
私がチラッと斗真を見ると、斗真は笑顔で
「俺らのことはいいから、早く行け。」
と言ってくれた。私も微笑み返してから
「ありがとう、斗真。あおちゃん、ちょっと言ってくるね。ごめんね。」
と言ってからドアのところで待っている後輩のところへと足を向けた。ここでは話し難いと言う彼女とともに中庭まで行くと、急に彼女は足を止めて、こっちを向いてからゆっくりと話し始めた。