「同じような設定だったんだな。お互いに片割れがいないってか」
片割れとか言わないで。双子だからそう言われることも多かったけど、私たちは二人一セットとかじゃないんだから。そんなの、小さい頃までの話だし。
「日付が違ったけど、ものすごいリアルだったの。今でも夢の中で起きたこと、全部覚えてる。まるで、本当にその世界で生活していたみたいに。色もあったんだよ。コスモスの花がピンクや赤に見えた。白も混ざってて……」
身振り手振りで説明すると、朔はますます「うーん」とうなった。
「そうなると、瑠奈の夢は俺の夢よりだいぶハッキリしてるな。それ、本当に夢なのか」
「どういうこと?」
「お前、もしかして本当にそっちの世界に行ってたんじゃね?」
そっちの世界? それってどっち。首をかしげると、朔はふうと息をついてから話しだす。
「パラレルワールドってやつ」
「パラソル……?」
「パラソルは傘だろ。パラレル。並行世界のこと。この宇宙と同じ次元、だけど違う時空に存在する、別の世界のこと。だから日付や時間の流れ方が違うんじゃないか」
意味わからない。ぽかんと口を開けると、朔ははあと深いため息をつく。



