精神的って。ストレスでハゲになるとか、お腹が痛くなるっていうのは聞いたことあるけど、朔が呼吸困難で倒れるほど思い悩むことなんてあるんだろうか。私から見たら、何の悩みもなさそうなのに。


「違うと思うけどな。俺、別に普段生きてて嫌なことなんてないし」


昨日よりだいぶ良くなった顔色で、しれっと言い放つ。そんな朔に若干ムカついた。いいよね、悩みなくて。


「じゃあとりあえず一安心ってことで。もうしばらく入院らしいから、お母さん新しいパジャマ買ってくるわね。下着もいるし。あれもこれも……」


新しいパジャマに下着か。私もほしい。けどさすがに今そんなことを言ったらぶち切れられること間違いなしなので黙っておいた。


「さあ、お父さん行くわよ」

「え、俺も?」

「荷物持ってもらわなきゃ。付き添いは一人いれば大丈夫よ」


やっぱり私が付き添いか。っていうか、初めからそうさせるつもりで私を呼んだんでしょ。

じとっとにらむけど、朔の意識が戻って浮かれているお母さんには私の顔など見えないみたい。


「何か食べたいものある? 朔」


朔だけに聞く。私だってお腹空いてるのに。