昨日に引き続き、一日中重たい気分で学校生活を送る。夢の中と時間のずれがあるせいか、時差ボケしたみたいに頭がボーっとする。

お昼はお弁当がなかったから購買でパンを買って食べた。

昨夜あまり眠れなかったからか、二時過ぎくらいに急激に眠気が襲ってきた。しかも授業は全教科の中で一番眠くなる古典。優しいおじいちゃん先生の声が子守歌のようで、起きようと頑張っているのに気づけばこくっと首が落ちる。それを繰り返しているうち、本気で寝てしまったらしい。


「市川さん、寝ないでください」


おじいちゃん先生が私の肩を揺さぶる。それで今度こそ目が覚めた。やだ、皆の前で。恥ずかしい。

起きる直前まで、よくわからない夢を見ていた。家に帰りたくて電車に乗ろうとするのに、どれだけ全力で走ってもなかなか駅にたどり着かないという夢だった。

ただ眠るだけではあの夢……朔がいなくて、想史と両想いのあの世界に戻れないみたい。そんなこと昨夜も家のベッドで寝たんだから、朝目が覚めた瞬間からわかっていたはずだけど落胆した。

やっぱりあの夢は、二つの月が合わさった瞬間にしか見られないものなのかな。そもそも月が二つっていうのがおかしいよね。どうしてそんなものがあのすべり台の上限定で見えたんだろう。