次の日の朝。目覚めると、家の中が不思議なほど静かだった。一階のテーブルにはお父さんの『行ってきます。洗濯物はやらなくていいよ』という手紙が。

そっか、お母さんがいないんだから洗濯くらい私がしなきゃいけなかったんだ。やっぱり気が利かない自分にがっかりする。お父さんはそんなこと、責める気はないようだけど。

朝ごはんなんて食べる気にならず、洗面所に向かう。朔やお母さんがいると、いつも誰が鏡の前を占拠するかで戦争が起きていたっけ。一人で歯を磨いて洗顔して、髪の毛を整える。いつもよりのびのび肘が伸ばせるし、いつまでいても文句は言われない。だけど全然嬉しくなかった。