あからさまに朔を贔屓するお母さんがいないおかげで、やっと素直に慣れた気がする。

朔、頑張れ。死ぬんじゃないよ。明日になったらさっぱりした顔で『重病人扱いすんじゃねーよ、バカ』って言うんだよね。そうに決まってる。

朔は大丈夫だと一生懸命自分に言い聞かせ、暗い部屋のベッドに倒れ込む。

夢の中で浮かれすぎたかも。朔のいない世界が最高だなんて、思うんじゃなかった。

後悔に胸を締め付けられ、枕に押し付けたまぶたから涙が溢れた。