車が行ってしまい、歩き出した瞬間に朔が口を開く。
「うぜえんだよ、おまえは。ついてくんな」
かっちーん……。何その言い方。誰もあんたについていこうとなんてしてないっつーの。私は想史に会いたいだけなんだから。
「同じ高校なんだもん、道が一緒、授業が始まる時間も一緒。通学路はここが一番近い。だから一緒になっちゃうだけ。誰もあんたが好きでくっついているわけじゃないんだから」
言い返すと、今度はため息をつかれた。
「……可愛くねえ」
吐き捨てるように言う朔。さらに言い返してやろうと思ったけど、想史にまで可愛くないと思われたくないのでやめた。
想史はそんな私の想いなんてつゆほども気づいてないみたいで、私たちのやり取りを見てくっくっくと声を殺して笑っていた。
想史の前では可愛くいたいのに、朔のせいで思い切り嫌な女になっちゃった。くっそー。ほんとに、朔なんてこの世からいなくなればいいのに。



