話しかけもせず、無言で朔のあとを追っていると、次の角から朔と同じ制服を着た人がひょっこりと顔を出した。

色白で髪はさらさら、ぱっちりしているけど男らしく涼し気な目に高い鼻。朔と同じくらい背が高い彼は、同級生で近所に住んでいる想史(ソウシ)。私たち三人はいわゆる幼なじみというやつだ。


「よっ」


軽く手を上げて朔に挨拶する想史。朔も同じように返す。


「あ、瑠奈もいた。おはよ」


にこりと笑いかけてくれるその顔が可愛くて胸がキュンと鳴る。笑うと目がなくなっちゃう想史。私は小学生の頃からひそかに彼に片思いしていた。


「おはよう」


挨拶を返す私を、朔が怪訝そうな顔で見ていた。たった今私の存在に気づいたような顔をしてる。


「想史、夏休みも部活ばっかりだったのに全然焼けてないね。昔からか」

「そうそう。俺、赤くなって黒くならずに終わっちゃうんだよね。でも瑠奈も白いよ」


白い……。色を言われただけなのに、褒められたような気がして嬉しくなる。


「遅刻するぞ」


せっかく話していたのに、さっさと想史の横を陣取り、学校へと背中を押す朔。私はその少し後ろを歩きだした。昔、小学校に入学したころは私と想史が手を繋いで歩いていたのに。ちぇっ。