「俺たちはそんなんで切れたりしねーよ。結局お前は勇気がなかったんだろ。人のせいにすんな」

「は……」

「俺のことを言い訳にすんなっつってんだよ。好きなら好きだって言えよ。彼女がいるからなんだよ。本当に好きなら奪ってこい」


責めるような朔の口調に、頭を殴られたような気がした。それは正統すぎて、何も言い返せなくて、その分大いにムカついた。

本当のことばっかり言わないで。どうして気づかないふりできないのよ。そんなあんたが大嫌い。


「全部、あんたのせいじゃない……!」


何も考えず、持っていたミルクティーのカップを朔に投げつけた。結果、空中で蓋が外れて朔の脇腹に当たったそれは、白いTシャツに大きなシミを作った。それだけでは足らず、吸収しきれなかった甘い滴がぼたぼたと地面に落ちる。


「見た目が良くて、勉強もスポーツもできて、お母さんもお父さんも、朔はすごい、朔はすごいって……あんたなんかが双子の兄だから、私はいつも比べられてばかりで」


私の良いところなんて、周りは探そうともしてくれない。だって私は朔の影なんだもの。どこまで行っても、朔の前には出られやしない。べっちゃり地面にこびりついた、影でしかない。