「やめてよ……」

眉を寄せて、目じりを下げて。そんな顔しないでよ。なんであんたがそんな顔するのよ。同情でもしてるの?


「このままでいいのか?」

「えっ?」

「いつまでも言わないつもりでいる気なのか。お前それで後悔しないか」


朔の言葉が、胸に重くのしかかる。わかってる。っていうか、今痛感してるんじゃない。

想史が他の人を選んでしまった。その前に、できることはなかったのか。長い時間一緒にいたのに、私は何をやっていたんだろう。


「……そんなこと、あんたに言われたくないっ」


だって、気まずくなるのが嫌だったんだもん。もし断られたら、この三人の関係も微妙なものになってしまうじゃない。

せっかく保育園の頃から三人一緒に仲良くしてきたのに。思春期になって、私たち双子が反発するようになっても、想史がいたからそれも最小限で済んでいたのに。


「私は、フラれたら朔と想史まで気まずくなっちゃうんじゃないかと思って……」


そうなったら、想史は気を遣って、朔と登校するのをやめてしまうかも。家に遊びに来るのも、できなくなるかもって。そんなの嫌だったから。