“もっと早く言えば良かった”そのセリフに聞き覚えがある。胸が痛いほど早い鼓動を打っていた。
「実は、ずっと昔から好きだった」
静かに言う声に嘘っぽい響きはない。
「でも俺たち、幼なじみだから。保育園の頃から知っててさ……そういうやつが異性として自分を見てたら、気持ち悪くないかなと思って」
聞いているうちに、唇が震えた。このセリフも、聞き覚えがある。そう、月が導いたあの世界で、想史が私に言ってくれた言葉だ。
目の前の想史の顔がぼやけたと思うと、頬を一筋、涙が流れていった。
あの時の約束、やっと果たせたね、想史。私のことを好きでいてくれるあなたに、やっと会えた。
「じゃあなんで他の子と付き合ったりしたのよう」
「泣くなよ。それはほら、相手が可愛かったってのもあったけど。他の女の子と付き合ったら瑠奈をそういう目で見なくても済むのかなって……」
「見ていいんだよ! 私だって、いつまでもパンツ丸見えで鉄棒ぐるぐるしてる子供じゃないんだからー!」
路上にも関わらず、ボロボロ泣きながら想史の胸を拳で叩く。その手をそっと握られて、ぐっと引き寄せられた。



