何か用があるなら、メールでも電話でもすればいいのに。そう思って携帯を見る。そこには想史から『話がしたいので空いている時間があったら連絡をください』というSNSを通したメッセージが。両手を合わせてお願いしているクマのスタンプまでついている。
「ごめん、今気づいた。で、なんだった?」
さっきとは逆の方向へ首をかしげると、想史は深いため息をついた。
「やっぱり強敵だ……」
「なんなの?」
「瑠奈、鈍すぎる」
「はいぃ?」
何が鈍いのよ。それを言うなら想史はまどろっこしすぎる。
「言いたいことがあるならすっきりハッキリ言っちゃって。はい!」
手を差し出すと、想史はその澄んだ瞳で真っ直ぐに私を捉えて、言った。
「好きだ、瑠奈。俺と付き合ってほしい」
……なんだって?
好き? つきあ……う??
全く予想しなかった言葉に、脳も体もフリーズする。口を半開きにしたまま止まってしまった私の反応を見て、想史は悲しそうに眉を下げた。
「だめ……かな」
「だ、ダメじゃない! ビックリしすぎてリアクション取れなかっただけ。って言うか、何で? どうして?」
我に返った瞬間から、胸が早鐘を打つ。まさか想史の方からそんなことを言ってくるなんて。



