『朔はずっと心配してた。瑠奈の悲しい顔を見たくないって、言ってたんだよ。“やっぱり妹だから”って』
そんな風に思っているなんて、私には欠片ほどもわからなかった。ただお互いにうざったい存在なんだと思ってた。一緒にいたら、きっとずっとわからなかっただろう。
とくんとくんと心臓が動くたび、そこから涙があふれてくるみたい。
朔。ごめんね。私、知らなかったんだ。
『それにね、私だって瑠奈が好きだよ。だからお願い、戻ってきて。瑠奈がいないと、寂しいよ』
「穂香……」
私がいないと寂しい、だなんて。そんなこと初めて言われた。昔から朔は人気者でも私は目立たなかったから。保育園を休んでも、誰にも気づかれないくらい。
こんなときなのに、嬉しくなってしまう自分が恥ずかしかった。
『俺もだよ、瑠奈』
突然聞こえてくる声が変わってビックリする。それは想史の声だった。
『うまく言えないけど……。俺にとってもお前は大事な存在なんだ。お前がいない世界なんて、考えられない』
私がいない世界。そんなの、いつもの世界と何も変わらないでしょう。誰も困らないはずでしょう。だけど想史はそう思ってくれる?



