ぜんぶ抱きしめて。〜双子の月とキミ〜



家から歩いて五分のところにあるコンビニを目指して歩く。レジの店員さんに淹れてもらうミルクティーが飲みたい。絶対あれを飲むんだ。太らないように我慢していたガムシロ、今日は入れちゃうんだから。

ふと上を見上げると、遠くの空に月がぼんやりと浮かんでいた。満月でも三日月でもない、丸っこい貝殻のようなハッキリしない形の月だ。


「あーあ……」


小学生のとき、近くの公園で盆踊りがあったんだよね。てか今でもあるんだろうけど、さすがに高校生になってからは行ってない。

子供会主催のちゃちなゲームコーナー……輪投げとか、ヨーヨー釣りとか、それに小さな屋台が出ていて、小学生の頃は楽しみにしてたな。

その時に想史と手を繋いだのを今でも覚えている。多分あれは、まだ一年生のとき。小学生になりたての私はお母さんと朔と一緒にみたらしだんごを買う列に並んでいた。そのとき。


『朔、瑠奈ちゃん!』


たくさんの人の中から、声がした。そっちを見ると、想史が走ってきていた。私と想史の間にはビールを買い求めるたくさんの大人の列があって、どうして気づいてくれたんだろうと、それが不思議で驚いた。