――――…

退屈な休日は時間があり過ぎて、ついつい考え事が増える。


色々と考えすぎるのは私の悪い癖だ。


ベッドに転がりながら、空をぼんやりと見つめた。


カーテン越しでも分かる程、青空が眩しく見える。



「あーもう!考えないっ!」


私は頭を左右に2回振ると、悪い事ばかり考えないように、無理やり気持ちを切り替えようとした。


けど…


何回消しても、また思い浮かぶのは相葉先生の事ばかり。


ワープロの練習も簿記の勉強も、どっちもやる気になれない。


『私、重症だな。』


そう思った私はベッドから体を起こし、気分転換しようとお財布と自転車の鍵を取った。


階段を下りて1階のリビングのドアから少しだけ顔を出すと、


「ちょっと出かけてくる。」


母にそう言うと、天気が良くて清々しい外へと出た。


気持ち良い空気の中で大きく伸びをすると、


「さて、行きますか。」


自転車に乗って、ゆっくりとペダルを漕ぎ出した。


心地良く流れる風が、私の髪を後ろへとなびかせる。


ちょっとコンビニまで行こうと思っていただけだった。


だけど…。



自転車で走り出したら、目的のコンビニは通り過ぎて、相葉先生のアパートの方に向かっていた。


相葉先生の事が、気になって、気になって仕方がない。


先生に会いたいし、もっともっと話したい。


だから来週こそは、


『今までのようにパソコン教室にいる相葉先生の所に行こう。』


そう、思っていた。


いつまでも暗い女の子なんて、きっと全然可愛くない。


そんな事を考えている内に、何となく向かってしまった相葉先生のアパート。


前回場所を覚えたから、今日は一発で到着する事が出来た。



『また偶然、会うかも…。』


ドキドキしながらアパートの前まで行ったけれど、残念ながら相葉先生の車はなかった。


『なんだ、外出中かぁ。』


そう思ったのとほぼ同時に私の目に留まったのは、アパート横に停められた見覚えのある車だった。