海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

就職に向けて着々と色んな事が進んでいくのと同時に、


相葉先生の誕生日が近付いていた。



私は、去年の幸せな記憶を思い返していた。



去年の誕生日に送ったものは、雪の結晶模様のニットの手袋。


お正月に届いた年賀状で大喜びしたんだ…。



フラレてばかりの恋の中で、数少ない、ささやかな幸せ。


それは私にとって、貴重な思い出だった。




そして…


今年の誕生日プレゼントはもう決まっていた。




去年あげたくてもあげられなかった、ネクタイ。


身につけてもらえる事も多いだろうから、絶対に渡したいって、ずっと思ってた。




私はまた、瑞穂と梢に付き合ってもらって買い物に行く事にした。


どうも一人で選ぶのは自信が無い。



「今回は買う物が決まってるから選びやすいね。」

デパートに向かって歩きながら、瑞穂が言った。


「カッコイイのがみつかるといいね。」

梢も楽しそうに笑っている。



瑞穂も梢も、いくら楽な受験と言っても、彼女達なりに努力しているのはよく分かっていた。


そんなにのん気にしていられないって事が分かっていたから、


買い物に付き合ってもらう事を申し訳なく思ったけれど、


「良い息抜きになるから。」


そう言って、二人は快く引き受けてくれた。



私達はデパートの中に入ると、ネクタイコーナーに直行した。



「どんなのがいいかなぁ…。」


瑞穂、梢と一緒に、何本も並べられているネクタイを見つめる。


見つめながら、相葉先生の姿を思い浮かべた。


『先生が普段着ているスーツの色は、チャコールグレーとか黒が多いかも。』


よく着ているスーツの色に合うかどうかをイメージしながら、色んな物を手に取ってみた。