海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

内心ハラハラしながら、先生が口を開くのをじっと待っていると、


「字が斜めになっている!まっすぐ書きなさい!」


と、見事なダメ出しをされてしまい、結局書き直しになってしまった。



その後も、


「字の粒が小さい!」とか、


「こんな自己PRがあるか!」とか…


それはそれは、沢山のダメ出しを受けて、なかなか思うように進まない。



やっと書き上げた下書きによって、ようやくOKしてもらい、作業が清書に入ったかと思えば、


「ゆっくり書きすぎてインクが滲んでいる!書き直し!」


…と、振り出しに戻る始末だった。




こんな事が毎日続き、1週間位経った頃、最後の履歴書が完成した時に先生が、


「もう、仕方ないか…。」


と若干渋々気味で、その履歴書でOKを出してくれた。


その頃には、一体、何枚の履歴書を書き上げたか分からなくなる程だった。




私は、面接練習に入る事になった。


面接練習は学年主任の先生が面接官の役に扮し、私が面接会場に入るところから始まるのだけれど、


先生の顔が更に怖い顔に見えて、本番さながらの緊張感が漂っていた。


もちろん、その時もダメ出しは盛り沢山。


最初はウキウキしていた就職試験が、すっかり憂鬱になっていた。



“社会の大変さ”の入り口を、垣間見た気分。


まだまだ子供だった私は、この時初めて“働く”という事の大変さを、感じたのかもしれない。


そんなのは、まだまだ始まりに過ぎないのだけれど…。