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風邪を引いて休んだ翌日、すっかり熱も下がった私はいつも通りに登校した。


あの日以降の私と相葉先生は、先生の家に行く前までと何も変わらずに過ごしていた。


先生は今までと同じように優しかったし、分からないところを聞きに行けば丁寧に教えてくれる。


だけどどんなに二人きりになったとしても、それ以上の事はなく…


正直なところ、私はそれがとても寂しくて、


『もう一度、抱き締めてほしい。』


そう、思っていた。



そんな状況を『何か変えたい』と思っていても、結局、私は何も出来ずにいた。


相葉先生の様子を見ていると、あの時の事には二度と触れてはいけない事のように思ったから。


私自身、触れるのが怖かったのかもしれない。



“先生と生徒”



私達が、その関係から外れる事はなかった。



あの時の事を思い出しながら、


『大崎先生は、あの日の事を知ってるのだろうか。』


という疑問が頭に浮かんだ。


もしかしたら知っているかもしれないし、相葉先生は伏せているかもしれない。


私はその事も気になったけれど、これもまた聞くに聞けない。



私が見ている限りでは、あの日以降の大崎先生の様子も変わっていない。


私と大崎先生の関係は今までより良くなる訳でもなく、更にひどくなる訳でもなく、


ただいつものように、穏やかな空気が流れる事はなかった。




そんな今まで通りの日常を送っている内に、季節はすっかり秋になっていた…。