「くーいず!!」

その一言で、子どもたちがわあっとなる。道行く子どもはみんな似たような話をしていた。

 
「三大英雄ってだーれだ?」


次々と上がる手。もちろん、元気な「はーい」という言葉付き。

 
「勇者石川さまと!」
「魔王木村さまと!」
「そして我らが伝説の国王鎌田さま!!」


わあ~っとまた意味もなく上がる子どもたちの歓声。
 
城下はどこも似たようなお話をしている。
 

そんな街の中を、黒のローブ姿でフードをかぶった女が歩いていた。

そして、子どもたちの同じ問題しか出ないクイズ大会を耳にしてはクスリと笑っている。
 

今日は、祝日。

そして同時にお祭りの日。
 

この日は、『平和の日』と呼ばれている。
 

おわかりの通り、魔王と人間との和平が成った記念の日だ。