そのあと、犯人は脱獄したことになり、なぜ盗人が二人のリュックを盗んだかは謎のまま、夜はふけていった。


ただ、リュックの中身だけは見つからず、何が入れてあったのかは魔女は笑って大したものじゃないと誤魔化し、決して詳しくは語らなかった。


城内は一時騒然としていたが、魔王との和平の発表を早朝の新聞で発表する予定だったのを、特別号として夜配ったことで、変な噂も広まることはなかった。


こうして、魔王と勇者の長い出会いの日が終わったのである。


でも、そんな二人にも朝はやって来る。


朝になれば、しばしのお別れになるだろう。

また会えるとそう思うのに、少し寂しく感じてしまうのは、蛍と迷だけなのだろうか。