「帰る」という単語。 一瞬で、現実が押し寄せた。 頭の上から冷水をかけられたように、体から熱が一目散に抜けていくのが分かる。 差し出された丈斗くんの手をつかめずに黙る。 私は、もう色恋に、はしゃげる状態じゃないんだ。 それは、生活が安定している人のものだ。 私には、すでに別世界のものだ。 下手に近づかない方がいい。 傷つかずに済む。