「大丈夫? 手を貸すよ!」
私の腕に、手が重なる。
あ、少しゴツゴツしたこの手、見覚えがある。
顔を見る余裕はないけど、丈斗くんだ。
一緒に、紅音を止める。
自然と私たちの距離は縮まり、肩が触れあってしまう。
こんな状況なのに、ニヤけそうになる。
私、汗臭くないかな?
というか、助けにくる感じ、カッコいい!!!!!
「せーので、力を入れて止めるよ?」
耳もとで、声がする。
それだけで、くすぐったいような、なんとも言えない感覚が、体を走る。
いま、声を出したら、たぶん変な声になる。
返事は、頭を小さく上下にふるので精一杯だった。
「いくよ。 せーのーーーー!!」



