「ヤヅキ、八つ当たりは良くないんじゃない?」 するとルキが宥めるように言うけど、やっぱり私には分からない。 「……あ、あぁ。悪ぃ」 一瞬焦ったような表情を見せて、片手で目を覆いながらため息をついたヤヅキは、バイクのキーを持って玄関に向かった。 ルキもバイバイなんて手を振る。 どうやら私に拒否権はないらしい。 赤信号で止まる度にヤヅキが盛大な欠伸をしているのが分かった。疲れてるの?って笑って聞くと別に…と言ってまたバイクを走らせた。