にわかにはなにが起こったのか自分でもわからず。

どうやってその後をすごしたのかももう覚えていない。
というか、正確にいえば多分思い出したくなくて心が思い出すことを拒否しているような気がする。


そして、恋人が言った言葉の意味がわかったのが数日後。

『ごめ~ん、私クラミジアになってたみたい!大丈夫だった?』

浮気相手が電話を寄越してきて開口一番に告げたのがそれだった。
あっけらかんと。

クラミジア?

なんとなく性病だってことは知ってるけど。
それがどんなものかさっぱり。

第一、 そういうのって自覚症状あるだろ?


『君も病院行ったほうがいいよ?症状ない?』
「うん」
『そっか。そういうのが出ないこともあるみたいだもんね』
「なぁそれってあんたが伝染された側な訳?」
『うん、彼氏がさ風俗行ったみたいで、こないだ。そこでもらってきたっぽい。アハハ~。ホントごめんね~』

ちっともごめんなんて思ってないだろう口調で謝ったかと思うと、すぐに電話を切った。