新幹線のホームで、手をつないで新幹線が入ってくるのを待っていた。


あと少しだけ。


もう少しだけ。


一緒にいたい。


ちょっとでいいから、時間を止めてほしい。


言葉にならない想いを抱えたままの私は、新幹線がホームにすべりこんでくるのを見ても、覚悟を決められずにいた。


そんな私の想いを見抜いていたのか、


「花音、今度は俺が名古屋まで行くから、待ってろよ」


そう言って拓海は、私の髪をなでた。


「うん、待ってる」


まもなく発車します、というアナウンスが流れ、私は新幹線に乗りこもうとした。


拓海はその瞬間、私をギュッと抱きしめた。


「ち、ちょっと、みんな見てるよ」


「今はこうして気持ちを伝えたいんだから、いいだろ」


発車のベルが、私たちを引き離した。


「じゃあ、またね」


「待ってろよ」


同時にしゃべった時、ドアが閉まった。