sweet voice

「ニューヨークへ行く日、見送りに来てくれる?」


「私でよければ」


「その頃にはもう、花音さんには新しい彼氏がいるかも」


「それはどうかな」


「そういえば、クリスマスはどうするの?」


「今年は平日だし、仕事だと思うよ」


「じゃあ、さみしかったら一緒に飲もう」


「そんなに飲めないでしょ」


「じゃあ、さみしさを埋めにくるよ」


伸二くんは、軽くふれるだけのキスをした。


「こうやって、クリスマス限定の彼氏になるよ」


伸二くんと何度もキスしたけど。


ふれるだけのサヨナラのキスは、せつなくて泣きそうになった。


「・・・よけい、さみしくなっちゃうよ」


「そうかもね」


「じゃあ、元気でね」


「花音さんも、無理しないで」


「おやすみ」


「おやすみなさい」


伸二くんは後ろ手でドアを開け、笑顔で閉めた。


一人きりになった部屋は、エアコンがついているのに空気がひんやりしていた。