同じ2キロでも山道と平坦な道では随分と違った。


山は木陰が多いものの、体力はどんどんすり減って行く。


いくら水分補給をしてもすぐに汗として流れ出していってしまう。


「これ、本当に2キロかよ」


思わず、そんな愚痴がこぼれた。


数十分あれば到着する距離が長く感じられる。


「もうすぐのハズだけど」


伸紀がそう返事をした時、木々の間に灰色の建物が見えた。


「あっ」


と声を漏らして立ち止まる。


木々に隠れて見えなかっただけで、建物はすぐ目の前にあったようだ。


少し足を進めると太い脇道があり、その先に建物が見えた。