瑠菜の味方はどこにもいない。


日本中探したって、きっと見つけることはできなない。


瑠菜を助ける手段だって、俺は知らない。


なにもできない、無力感だけが体中を覆い尽くしていた。


放課後になっていつも通りバイトをはじめても何にも身に入ってこなかった。


瑠菜が売られる日はそう遠くない。


そう思うととても働いてなんていられない気分だった。


かと言って俺にできることなんてやっぱりなにもないのだ。


グルグルと、最悪な事態の想像だけが頭の中をめぐり、何度もミスをした。


最後には見かねた店長に「今日はもういいから、帰れ」と、怒られてしまったほどだ。


俺は体中から気力が抜け落ちて行く感覚になりながら、事務所へと戻った。


デスクに怒った顔の店長が座ってパソコンをつついている。


申し訳なさが込み上げて来て、俺はコソコソと着替えをする。


その時だった、ロッカーの上にあるバインダーが気になった。


瑠菜はまだあのカタログに載っていないんだろうか?