やがて「あった」と小さく声に出して言い、黒いバインダーを手に椅子を下りた。


「このバインダーを持って行く」


「これって『人間発注書』じゃねぇかよ」


バインダーを見た瞬間、俺は思いっきり顔を顰めた。


できるなら見たくないものだ。


「そうだよ。これを口実にあいつの屋敷に入れてもらう。屋敷に入れたら、あいつが本当に人を購入しているかどうかわかるだろ」


「そうかもしれないけど……」


本当にそんな事でうまくいくだろうか?


新人は村山の相手は店長かオーナーだけで、バイトは何もさせてくれないと言っていた。


村山だってそれを承知のはずだ。


いきなり俺たちが出向いて不審がられないハズがない。