年下属性はありません!

「だから,僕と付き合ってくれませんか?木村先生」

告白が来た。

ドンペリの方を見ると,まっすぐこっちを見ている。

ついに,ついに私の中でも結論を出さなきゃいけないときだ。

「考えさせてください」なんて先送りにするつもりはない。もう十分引っ張ってきた。



「その,ごめんなさい」

手元のカクテルを見つめて,正直に今の自分の気持ちを伝えた。

ドンペリが少し落胆しているのが分かる。ドンペリの方は見られない。

「僕じゃ,だめですか」

「いや,そうじゃなくて,だめなのは私なんです」

「どういう・・・?」

「なんというか,自分に自信がなくて,今元主任の気持ちを十分に受け入れることができないんです。遠距離恋愛なんて,お互いをいかに信じられるかじゃないですか。だけど,私はそれができないと思います」

今だって,今元主任の言葉には裏があるんじゃないかと思っている。

そんなことではこれからすぐに破局するのは目に見えている。

そして,和也君のこともある。

今までみたいなアピールを続けられたら,また不覚にもときめいてしまうかもしれない。

和也君は,もしかしたら美樹ちゃんと付き合うのかもしれないけど,それはそれで心が痛みそうだ。

どちらも裏切り行為だ。