深呼吸をして、扉の前に来て
コンコン…

「寧々、入って…」

恐る恐る愛斗さんの部屋に入る。

「わぁ…素敵。愛斗さんのお部屋、何この感じ。私 憧れって言うか、ここに住みたい。


「寧々大胆。同棲宣言か?ハハ…寧々なら歓迎するけどな!」

いやいや、つい興奮の余り 住みたいとか 自ら言っちゃってた…ダメダメ。

だけどこの部屋は 本当にいい感じ。
南フランス風?少しお洒落を崩した こなれた絶妙な雰囲気が堪らない。愛斗さんって、センス やっぱりいい。

この人謎だらけだけど、今は大家さんの仕事以外は何かしているのかな?平日の昼から夜って 何してるんだろ?また、聞く事が増えた。でも、今は…

「あのね、愛斗聞いて欲しいの…」

「ん、俺も寧々に聞きたい。
お前俺の事好きか?」

はい?私が聞こうとした事
先に言われちゃった…

「返事はyesかnoしかないだろ?」

ぐいっと抱きしめられた。

「俺にこうされるのは嫌?」

「…嫌じゃない…」

「俺とキスするのは?」

吸い込まれそうな瞳が見詰めてくる

キスを簡単に受け入れてしまいそうな私がいて

「嫌じゃ、ない…」

「へぇ…寧々は何とも思ってないやつともキス出来るか?例えばこんなキスとか…」

両手で頬を挟まれ 愛斗さんが濃厚に舌を絡ませてくるキスを…息つく暇さえ与えない。何もキス以外考えられない…

「俺以外と出来るか、こんなキス?」

泣きそうになる。いきなり何で?酷い…

「やっぱり俺、寧々と付き合うのやめるわ…お前じゃ無理だ…」

「私もそのお願いに来ました。愛斗さん ごめんね。私に魅力が無くて…」

自分でそうするつもりで来たのに、実際 願い通りになったというのに、何故か心が揺れている 変な感じ…

「寧々、もうお前は自分の部屋に帰れ。じゃあな…おやすみ寧々。」

強引に愛斗さんの方から 拒絶みたいな感じで部屋から出された。

何で?何でかな?泣きそうな私だけが、1人部屋に戻りながら 訳のわからない自分の感情をもて余していたのであった