「寧々、今日はやっぱり帰るのか?」

あなたは兄で 私の彼氏でもないし、何甘い顔して 私に訪ねるの?

「勿論 帰るのは独り暮らしのマンションだよ。私ね 今の生活すごく楽しいの(色々難はあるけれど…)。」

「そうか、寧々マンションのセキュリティは大丈夫なのか? 隣近所に変なやつはいないか?」

本当の事を言えば 連れ戻されちゃう。セキュリティはかなり緩い…、あってないな…

「大家さんも とても親切だし 回りの住人さんも よく私の面倒を見てくれる いい人達だよ。」

「一度 挨拶に行かないとな‼今日は疲れたろう、明日からの出社に備えて 今日は帰っていいよ。俺 明日から楽しくて仕方ない」

やだ、私はいやなのにな…

「寧々、一つだけ俺の希望を聞いて。会社では、ばっちりメイク禁止。コンタクトも禁止。眼鏡着用。それと…パンツスーツ着用。俺意外に笑顔も封印。」

全然一つではないんだけど…

「お兄様…それって?」

「俺の名前は?」

「奏夢。私には存在を消せって事なの?
どうして いつもそうやって私の事干渉するの? 私は私。奏夢の思い通りにはさせないから。」

「寧々、何でわからない?俺の気持ちが…お前だけを独占したい。心も体も全部… 俺おかしいのか?」

おかしいでしょう…普通じゃない。

「私は奏夢の事 嫌いじゃないけど、あんまりにも束縛するなら、嫌いになるから。」

「寧々…」

ぎゆっと私をきつく抱きしめた後
兄はふぅ とため息をつき
泣きそうな顔で呟いた。

「俺の寧々…」

その呟きは小さくて聞き取れなかった。

泣きそうな顔の兄の顔だけが
私の頭の中に残像として
いつまでもリピートされるのであった…