「文哉ならどうする?」
「え?うーん、そうだなぁ。」
朔夜が文哉に質問したのには、意味がある。
彼が元々、実験体だったからだ。
朔夜と弥生に保護されていなければ、
どうなっていたかわからない。
それから朔夜は、名前のなかった彼に
「文哉」という名前を与えた。
仲間でもあり、命の恩人でもある。
「地下で過ごしてきた俺たちにとって、
コッチは あり得ないくらい暑いんスよ。」
「なるほど。日陰をと水辺を探してみるか。」
「そんなに単純じゃないでしょう。
文哉を見つけた場所はどこだった?」
「俺は噴水広場っス!水飲んでました!」
「はぁ…。」
なかなか進まない話に、弥生は頭を抱える。
それでも朔夜は、地図を見ながら
ひとつひとつの可能性を探っていた。
朔夜の実力は本物だ。
幼少時代から、期待の天才と呼ばれてきた。
それゆえ、弥生は心配だった。
次の実験体が、彼になるのではないか?と。
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