ウラガエシ


彼女は、いた。

あの場所に。

僕のためとも言えるあのタイミングで。

まるで僕を待つように。


意識すると、逆に足が遠のいた。

婦人服売り場だし、無理もないか。

そんなにいつも彼女がいるとは思えない。

従業員なわけないし。休憩室でも会った事がない。

ま、僕はもっぱら、テレビに一番近い椅子に座って、誰も視界に入らないようにしているから、当たり前かもしれないけど。