親父は眉間に皺を寄せて、唸る。


「うん…では連れてこい」

「は?今…」


「あぁ」


「無理だ………入院してる」
「どこが悪いのか?」


絶対怒るだろうな。
「内藤が誘拐した女2人ってのが、皐月の妹と龍真の女だ」

「…はぁ…。それで…怪我をした、と?」
「あぁ…」


親父の機嫌がまた悪くなる。





「先に仕掛けてきたのは内藤か?」




俺が頷くと、親父は雪人に耳打ちをした。
雪人は頭を下げてから部屋を出ていった。


「いつ頃連れてこれる?」



「一週間以内には」
親父は「分かった」と言ってから、俺を部屋から追い出した。



「よく組長は了承しましたね…」

「いや…アレはしてねぇよ。」


「脅すんでしょうか?」






俺が無言で頷くと、苦笑いで「たえられますかね?」と聞いてきた。

「あぁ、多分な。肝が座った不思議な女だ」



「やっぱり不思議な男には不思議な女が出来ますよね」


圭斗はイタズラをしでかした後の子供のようなの笑みで笑った。



「うるせぇ」

不思議な男じゃねぇし。