最近は、体調も機嫌もよかったからな…。

これで一安心だ…。



「よし、では退院祝いを準備しなくては」





親父はスッと立ち上がって、戸惑う側近2人を置いて、スタスタ出ていった。



「ちょっ、組長っ…し、失礼します!」
「また来ますね、若姐、若っ」





2人は慌てて後を追った。





「検査が先だっつうの…」

「雅人さんは優しい人だよね」


「…ありえねぇ。」

「私のこと娘だって言ってくれたんだよ」





葉月は心から嬉しそうに笑った。




「親の事、あまり覚えていないから…、なんだか不思議な感覚だけれど…」



「今度、一緒に墓参り行くか」

「うん」


ーブーッブーッ




ソファーに置かれた、スーツのジャケットのポケットの中で、スマホが鳴っていた。


俺はポケットからスマホを取り出して画面を見た。





「薫からだ」

「…?」

「あいつ、滅多に俺に電話よこさねぇんだ」





電話が嫌いとか何とかで、いつも大概はメール。






「なんだ?」



『あぁ、葉月ちゃんの様子はどう?』



「次の検査の結果次第で退院だ」




『本当に!?そっか…よかった…。あ、そうだ。今日、葉月ちゃんに会いに、先代の王子さんと陸希さんが来て、入院してるって言ったら今からそっちに行くことになってさ…。葉月ちゃん、体調悪そうじゃない?』




「…めんどくせぇ…」

『……………………仮にも先代だぞ…』