「せーんぱいっ」



廊下を歩いている葉月に声をかけた。

振り返った葉月は、首をかしげた。




「…誰だっけ」


「やだな〜っ、ハンカチをあげたじゃないですか〜」


俺の言葉に、あぁ、あんときの…と言った。




「変な後輩か。なんか用?」





「え〜っ…。あぁ、特に用はなくて…先輩とお話したくてっ」



「なにそれ。…ねぇ…兄弟いたりする?」





おぉ…。
鋭いのか、会話の種として言っているのか。


「えぇ、兄貴が1人いますよ。」





ーブーッブーッ


「あぁ、ごめんちょっと」


葉月はポケットに手を突っ込んでスマホを出した。

画面を見て、指をスライドさせてから耳に当てた。





「はい?あー、そうなの…。うん…分かった」




「彼氏ですか?」