黒の村娘といにしえの赤鬼

「…」
「…」


どうしよう。
何の話題も出てこない。
お互いただじっと雨の降る庭園を見つめているだけ。
こんな真剣に雨音なんか聞いた事ない。

ちらっと横にいる紫苑さんを見つめるも彼も同じように雨を眺めているようだった。

…それにしてもこの青髪に青い瞳…。
それに雨降る風景。
何だか紫苑さんにぴったり。
鬼の若君たちは揃いも揃って美形揃いだから絵になるなぁ。


「…今度はじろじろと…何?」

流し目で見つめられて私の心臓はどくんと脈打つ。

「いえ…紫苑さんは雨が似合うなぁ…と」

あー何正直に言ってるのよ私。
そんな事言っても鼻で笑われるだけなのに。


「…そう」


あれ?
そうでもなかったみたい。
少し口角が上がってるように見えるし…逆に喜んでる?


「あんたは雨が似合わないな。太陽の方がいい」
「本当ですか?」


まあ雨より晴れてる日が好きだけど…雨だと何もやる気が起きないし、外にも出られない。
あ、でも作物にとっては雨も大切よね。


「どうやら今の暮らしとは真逆な生活を送っていたようだな」
「えっ…!?」

私、紫苑さんに何か言ったっけ?
人間の村で過ごしていた頃の話なんてふみさんと…勝手に聞いていた時雨ぐらいしか知らないはずなのに。