黒の村娘といにしえの赤鬼

そして次の日。
今日はあいにくの雨だった。
縁側にいると濡れてしまうと思ったから壁寄りに立って二人を待つ。


「今日も贈り物だけか…」


今朝も時雨から着物が届いた。
嬉しいけど、そんな事より顔ぐらい見せたらどうなのとこの頃思っている。
許嫁の時雨だけが私の住む宮に足を運べる事ができるらしいから。


「贈り物をすれば気が向くとでも思ってるのかな」


時雨の考えている事が分からない。
本当は私の事どうでもいいと思ってるとか?


「…なんてまるで私があいつに気があるみたいな?いやいや…それはないわ」


「何一人でぶつぶつ言ってるの」


「はっ…!」


私の背後にはいつの間にか紫苑さんがいた。
独り言を聞かれていたなんて…恥ずかしすぎる…!

「全部聞いてました?」
「いや、内容までは…。聞こうとも思わないけど」

はい、そうですか。
はっきり言うわね。
まあこちらとしても好都合だけど。

あはは…と苦笑いを浮かべているとある事に気がついた。


「あれ?右京さんは?」

来ると言っていたのに姿が見当たらない。

「あいつは急用が入って来られなくなった」

…という事は私と紫苑さんの二人きり!?
ちょっとそれは気まずいかも…。

「じ、じゃあ今日はやめておきましょうか!あいにくの雨だし!」

紫苑さんだって私と二人きりなんて気が乗らないだろうし、私にとってもそれが良い。

「…俺もそう思った。だけど右京が許さない。断ると後でうるさいからな。仕方なく来たんだ」


そう言ってどかっとその場に座り込んでしまう。
いくら右京さんの言いつけだからってそんな嫌々な態度を出されたらこっちだって気が滅入るわよ。

私は小さなため息を吐きながら紫苑さんの隣に座る。