黒の村娘といにしえの赤鬼

一瞬何が起こったのか分からなかった。

何故だか私は床に倒れているし、目の前には日向さんの端正な顔がある。

そこでようやく私は押し倒されているのだと理解できた。

でもめいいっぱい力を込めてもそこから逃れることはできない。


「ほう…顔だけは中々の美人だな」


息がかかる程間近で見つめられて私は顔が赤くなるのを感じる。


「ふ、照れているのか?」


違うわよ!
あんたの顔が近すぎるからよ!

私は顔を背けようと横を向いたけどすぐに戻されて顎を掴まれる。


「ここまで俺に楯突く女はいない。…気に入った」

「…は?」

「東雲珠々、お前を俺の正式な婚約者として認めよう」

「はぁぁ〜!?」