黒の村娘といにしえの赤鬼

「違うわ」
「…え?」


ふみさんははっとして私を見上げる。


「私、人間の生活がとても楽しかったわ。私には父さんがいて幼なじみがいて贅沢はできなかったけど毎日幸せだった。ふみさんたちには信じられないでしょうけど、人って思いやりがあって本当は温かい心を持つ生き物なのよ」


私が鬼の存在を良く思っていなかったように、鬼も同じ気持ちなのかもしれない。

でも多分お互いを誤解している。

争い事がなかったら私たちはきっと分かり合えると思う。

見た目が少し違うだけで生活も食べ物も考える事も…全て同じなんだもの。


「…ふふ。珠々様は母君と同じような事を仰るのですね」
「母さんと…?」
「はい。母君は鬼だというのに毎日のように人間は悪い人ではない。きっと分かり合えると仰っていました。容姿の美しさも中身受け継ぐとは…強い絆で結ばれているのでしょうね」


母さんも私と同じ気持ちだったんだ。
母さんもここで考えたりしていただろうか。
覚えてもいないけど母の事を思うと何だか私の居場所ができたようで嬉しかった。