黒の村娘といにしえの赤鬼

何だか優しそうだし、打ち解けやすそうな女性だ。
私は少し安心しながら後をついて行くと広いお風呂に連れてこられた。
準備って…まずお風呂に入れってこと？
確かに昨日入ってないから汚いかもしれないけど臭うほど臭かったのかな。
そう思うとなんだか急に恥ずかしくなる。

ため息をつきながら着物を脱ぎ、身体を洗おうとすると作業をしていたふみさんが手を止めた。

｢いけません！これは私の役目です｣

え、私の身体を洗ってくれるってこと？
そ、そんなの絶対に嫌！
裸を見られるだけでも嫌なのに…！

｢自分で洗えますから…｣
｢いえ！それでは私の仕事がなくなってしまいます！それにこれから若君方にお会いするのに時間がありません｣


そう言うと素早い手つきで身体を洗い始めて私はされるがままになってしまった。
裸を見られて恥ずかしいけどふみさんに背中を流された時はとても気持ち良かった。
幼い頃父さんにしてもらった時を思い出す。
そう思い出していると今度は別の部屋に移されて豪華な着物に化粧、髪飾りまでして着飾られた。
こんなに上質で綺麗な着物、着たことない。
化粧だって一度も。