黒の村娘といにしえの赤鬼

「ど、どこへ行くんですか?」

口を閉じたままただひたすらに歩いている彼の背中に問いかけた。
どうやら私を帰すつもりはなさそうだし…一体どこに向かうのだろう。


「どこって…お前の家にだ」


…何を言っているのだろうか。

私を帰す気はないと言ったはず。
それにこっちは明らかに村の入口ではない。


「ちょっと待ってください」


私は歩く足を止めて手を振りほどいた。
すると彼はゆっくりと振り返る。


「日向さん…でしたよね?」
「ああ」
「私、何が何だか分かってないんです。どうして帰してくれないのか教えてくれませんか?」