そんな時、ぬかるみに足を滑らせて体がぐらっと傾き倒れそうになる。 …でも一向に体は倒れない。 「…あ、落ちる」 視界が横に傾くにつれて足を滑らせた先は崖なのだと気づいた。 どうしようもできなくて、覚悟して目をぎゅっと瞑ると、手首に強い力が加わる。 そう思ったのもつかの間。 勢いよく引き上げられて地面に膝をついていた。 「はぁ…はぁ…」 乱れた息を整えていると、目の前に影が射した。 この人が助けてくれたのかと思って顔を上げると信じられない光景が目に入ってきた。