黒の村娘といにしえの赤鬼


夕食の下準備を終えて父さんの帰りを待つ。

「ただいま」
「あ!おかえりなさい」

決まった時間に帰ってきた。
玄関に駆け寄って父さんの荷物を受け取る。
何やら今日は食べ物の他に買ってきたものがあるようだった。


「父さん、開けてもいい?」

いつもよりずっしりと重い荷物の中身が気になって尋ねた。

「ああだめだよ」

父さんは慌てて私から荷物を奪い取ると背を向けてごろごろと食べ物だけを取り出す。

「これは前から注文しておいたものだ。確かに珠々のために買ってきたんだが、今は見せることはできない。時が来たら渡すから絶対に見てはいけないよ」

「…そう。わかったわ」


見てはいけないと言われたら尚更見てみたくなる。
気になるけれど見せたくないものならいいやと、大人しく夕食をつくる事に専念するのだった。