その後、傷は順調に癒えていった。


あたしの中には傷が治り、自分の体が思い通りに動くようになっていく喜びと、いつこの屋敷から追い出されてしまうのかという不安があった。

彼はあたしのことを殴ったりしないし、むしろ優しく接してくれた。ここはとても居心地がよかった。

傷がほぼ治ったある日、彼はあたしの首に紫色のリボンをつけてくれた。

「傷が治ってよかったな。…もし帰る場所がないのならここに住まないか?」

耳を疑った。

(あたしが?ここに?本当にいいの?)

彼はあたしの頭を撫でて言った。

「これから、よろしくな」


初めて彼が笑っているところをみた。