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「記念日、何あげよう」

ふいに彼女が言った。

どうやらあと三日ほどで僕たちの付き合って一年記念日があるらしく、それに向けて発言したものだと思われる。
僕も約一週間前に彼女に言われて気がついた(その時僕は思い出すことができず、説教をたれる彼女はまるで悪魔のようだった)。

僕は急いで用意したけど、君はまだなのね(僕にあんなに言ってたくせに)。

「え~~、知らないよぉ。
僕の目の前で言わないで。」
「どーせ、あんたも用意してないんでしょ」

彼女がけらけらと笑った。
だから僕はどや顔で言い返す。

「ううん、用意したさ!大好きな君のためにね!
ブランドバックとテーマパークチケット。
もしかして、欲しいものあった?」

一瞬白目をむいた彼女は震えた声で
「バックって」
「この前に君が雑誌で見てたやつ」
「高いやつじゃん」
「高いやつだよ」
「お金あったの」
「稼ぎました」
「別に良いのに!何年かかっても返すね」
「あげるって言ってんのに。別にいいの
記念品なんだから受け取りなよ」
「あなたに酷なバイトさせちゃったのね私。
あなたから勉強を抜いたらなにもないのに!」
「ちょ、失礼な。ありますぅ
僕から勉強抜いても、君があるから。
勉強と君の笑顔。最優先事項は明確だろ?君は本当に頭良いの?」

「ぁ、ありがと!
でもそれってあんたへのプレゼント用意してない私から見たら今の結構心にクルんだけど」
「君は馬鹿だから仕方ない」
「馬鹿じゃなーいー!」
「僕に勝てないのに?」
「むー」

といいつつ、高いものを用意したのは君の怒ったところが怖かったからなんて一言も言えないね!

「絶対私も何か渡す。何が良い」
「なんでもいいよ」

でもなあ、一周年アニバーサリー僕は別に
なんもいらない。

「だめ!なんでもいいから!言って」
「じゃあ、二年記念日に持ち越しってことで」

君がいればの話だけど。