「あ、そうだそうだ」

ふいに彼女が言った。

「これプレゼント」
好きって言われた直後だった。
「この前ね清水くんと出掛けたとき、買っておいたんだあ。」

包みを渡される。淡い青色のラッピングが施された四角い箱。
「ありがとう!開けていい?」
「いいよ」

「ん、これって」
盤が星空のような柄の、腕時計。
「あんまり高いって訳でもないけど」
よく男性が使うような大きくてゴツいのじゃなくて、どちらかというも小ぶりで女性感のある時計だった。

革の部分には正座が刺繍され留め具もアンティーク調でとてもお洒落。
「高くなかった?」
「だからー!安物だってばー」

まあ相手の嬉しそうな顔を思えば、こんなん安いよね。
僕もそうだよ。

「お金返すよて言いたいところだけど。
僕も君にプレゼントがあるんだ」

この前渡しそびれたプレゼントを差し出す。

「中身、驚かないでね」
って、言ったにもかかわらず君は予言通り
「あっ!」
て声が漏れた。
そのあとに「あはははは!もうー!」と続いて物を手首に着ける。

「お揃いだねえ」
なんて呑気にその時計を見せてくる。
「以心伝心、君に似合うと思ったんだ。
似合ってる」
「ありがとう。ねえそっちもつけてよ」

そーっと時計をとりつけた。
しっとりとした革の感触が腕に違和感。

「可愛い!」
「女ものでしょこれー」
「え!そうだったんだ!でも似合うよ」

へへ。そうかな。
僕って案外単純なのかも。

「まじ最高大好き」
「うん」

部屋に仕舞う宝物がまたひとつ増えました。