「中条さん……………」

ハッと我に帰る。
どこか懐かしい風が、吹いた気がした。
今は夏じゃないってのに。

だって彼女が俯いている。
あんなに興味津々に聞いていたのに。
ぱさりと、漆黒の髪が夕日に反射した。
僕は記憶の中を漁る。

「ははは」

乾いた笑いが思わず出た。